4行日記

第1回 : 4行日記を書くとどう変わるのか/蒋野 かおり(SEPアドバイザー・著者)

2013.09.03

4行日記とは?

4行日記をすでに、実践されている方もおいでではないでしょうか。初めての方に少しご説明いたしますと、4行日記とは、「事実」「発見」「教訓」「宣言」という4行で構成される日記です。

FFS理論の開発者の小林博士が個性を活かして自己拡大するために考案した日記術です。スポーツ選手が行うメンタルトレーニング法を一般の方が、日常に取り入れられるように工夫されたものです。私は、この4行日記のアドバイザーをしております。4行日記の書き方や気づきのヒントを書いてメールで返信するという仕事です。他者の日記を観ることで、私自身の人生の学びとなっております。こうした私自身の体験談や実践者の4行日記のご紹介、自己拡大のためのアドバイスもお伝えできればと思います。これからよろしくお願いいたします。

第1回は、「4行日記を書くとどう変わるのか」です。

まずは私自身の体験談を。

弊社が4行日記術の紹介を開始して、今年で10年目を迎えます。私も同年5月から4行日記を書き始めました。書いた4行日記の本数を数えました。200本近くありました。

始めた当時はこんなに長く続くと思っていませんし、その後自身の仕事になろうとは予想もしておりませんでした。当時のアドバイザーは、小林博士です。講義を受けたその日、帰宅し早速MLに投稿しました。

記念すべき1本目とアドバイスは?

記念すべき1本目

事実■今日本屋で「4行日記」「英語版4行日記」2冊買った。
発見◆毎日持ち歩けば気づいたとき自由に好きなことを書き込める
教訓●自分で決めて行動しているとすがすがしい気持ちになる
宣言★私はいつどんなときも自分の意思で行動している人間です。

4行日記では、潜在意識に落とし込みやすいように記号を使います。

■は事実、◆は発見、●は教訓、★は宣言を表現します。

■は角ばってクールでデジタル、◆はその中心に気づく対象がある、●は丸めてぎゅっとまとめる、★は、輝く星のように そのようなイメージです。

投稿すると、返信がありました。

どのようなアドバイスだったのか、ご紹介します。アドバイスには事例が白抜きの記号を使って書かれます。→の箇所がアドバイスです。

■今日本屋で「4行日記」「英語版4行日記」2冊買った。
→まいど、おおきに!(大阪弁風)
◆毎日持ち歩けば気づいたとき自由に好きなことを書き込める
→然り。でも重いよ。単語帳が便利。
●自分で決めて行動しているとすがすがしい気持ちになる
→教訓らしく!
○能動性こそ最強の動機付け・・・こんな感じ。教訓は自分で生み出すこと。一生ものに すること。
★私はいつどんなときも自分の意思で行動している人間です。
→私・自分・意思・行動・人間・・・・漢字要素文
☆私は、自己決定している人間です。・・・・この方が暗唱し易い。
****宣言は一日何回も暗唱すること!

「なるほど」と思いました。 とりあえず書いてみることが大事です。

4本目です。

■4行日記を書いている
→なるほど。
◆思ったよりも難しい
→否定的な表現は差し控える。
◇全脳を活性する必要あり。
●言うは易し、行うは難し
○意志が成果に繋がる・・・こんな表現があるのでは?
★私は4行日記で日々成長している人間です
→素晴らしい。しかし、「日々」は不要。「日記」の概念に日々は入っているので、重複。

発見が感想になっています。例示で発見のヒントが出されました。

本数を重ねると、だんだんと短く書けるようになります。

そして‟それらしく“書けるようになっていきました。

 

不意の問い。自分が考える「幸せ」とは何か

そして、16本目、気軽に書いた日記の返信です。

欄外に投げかけがありました。

■町内御輿祭りで食べて飲んで遊んだ
→夏ですね。
◆引き継がれてきたものは人の触れ合い
→下町気質(したまちかたぎ)というものかも。
●一期一会
→蒋野さんらしい
★私は、豊かな心で人生を歩んでいる人間です
→これは信条?目標としては具体性が欲しいですね。
→豊かな心とは?
☆例)私は、出会いを楽しんでいる人間です。
★私は、幸せな未来を共創している社会人です
→幸せな未来とは、どんな世界?だれと共創するの?
→「幸せ」は他者依存では不可能では?他者は自由変数です。
☆例)私は、安全で安心な世界を建設している社会人です。・・・こんな社会だと幸せを甘受できるのでは?
*「幸せ」の定義の問題ですが、一般的には「幸せは気分」であり、居なくなる可能性のある人間、壊れる、無くなる可能性のある物・・・など外部に幸せの関数を持った人で幸せになった方は皆無です。ただし、「幸せに見える」ことはあるでしょう。もう一度、自分なりの幸せを考えてみては如何?

困りました。ぼんやりしていました。具体的にイメージが沸かないのです。

「ここは思い切って、拡大した自分を捉え、できること、したいこと、すべきことを考えてみたい」と返信しました。

さらに返信がありました。禅的にたとえるなら喝メールです。

自分の強みこそ、天が与えし使命達成の武器です。
その理解の上に、縁が齎す「すべき事」、潜在意識が支持して伸ばしてきた「出来ること」、そして、時に反応して湧き上がる「したいこと」を重ね合わせると、「自分の使命」が観えて来るものです。その発見を促進するのが「坐禅」で、言い換えると、頭の坐禅であるSEP(*1)を用いて、生れながらにして在る「善心」と「使命」に気付き、大安心の覚悟を決めて目的に邁進することです。それが心であれば「幸せ」という気分で心は満たされるでしょう。
セクハラと勘違いされると残念ですが、子供を生んで育てるということもあれば、誰かを蔭から支援し続けるというのもあれば、先頭に立って戦うというのもあれば、性別や年令など一切の差異を超えて、一人一人に必ずあるのです。ですから、不要な人間は一人も居ないということです。つまり、幸せに気付くことも「発見≒悟り」なのです。幸せは毎日拡大できている「今」のはずですよ。
看脚下!

自己発見、新しい自分と出会う

4行日記は、言葉が大事です。
勿論大事なのですが、本来表現は稚拙でも何でも良いのです。本質を感得すること。
事実を透徹し、昨日とは違う今此処の自分に気づくことが大事。
私は、続けてきて、発見とはそういうことなのではないかと思い始めています。禅では、「己事究明」という言葉があるそうです。
私自身と4行日記の関わりでいいますと、この18本目が転機だったと思います。

18本目

■今夜は半月
◆夜空に広がるは、月と地球の現象劇
●真実一路
★私は、自然体です

月に照らされての帰宅途中、ふと見上げた夜空が違って観えました。自分が地球の底に張り付いたような感覚になり、動く物体としての月が目の中に飛び込んできました。「ああ、眼前の全ては相対現象であること。それが今この瞬間、目の前で繰り広げられているんだ」鳥肌が立ちました。昨日までの私であれば、きれい、美しい、和む、あるいは、月見がしたいなどと思う感想の世界でした。あるいは、物理の教科書で習ったニュートンの法則のように頭で理解する考える世界でした。この時は、違ったのです。感想でも考えるでも無い、気づくという世界でした。

「★私は自然体です。」には、「それが最高!」と一言返信がありました。

この時、初めて自然体という宣言がふと出てきました。その言葉は何とも言えない感覚でしっくりくる感じでした。これが、私が目指していることなのかもしれないなと、感じました。

およそ1か月後に50本を終えて、宣言を整理し1枚にまとめました。
その後も4行日記を続け、「50ボックス」というまとめを3回行いました。やるほどに4行日記の奥深さを実感しています。
また4行日記を追体験すると、その方の人生の転機に遭遇することもあります。
真剣に生きる大事さが身に沁みます。

 

ご参考(*1)

SEPとは Self-Expanding Programの頭文字です。個性の強みを活かした自己拡大プログラムで自己能力を拡大し、できること、したいこと、すべきことを一致させ、目標達成していくものです。

ヒューマンロジック研究所 シニアコンサルタント  パーソナネルアナリスト SEPスーパーバイザー

蒋野かおり(こもの・かおり)

A:7 B:14 C15 D14 E3

柔軟に受け入れながら、合理的に判断し、積極的に動いていこうとする個性タイプ。

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