古野のブログ

企業を二つに大別すると「組織型」と「マーケティング型」

2016.11.02

我々は組織的な観点から、企業を大きく二つの型に独自に定義し、分けています。
一つは「組織型」そしてもう一つは「マーケティング型」です。
組織型は、現場での一人ひとりの「擦りあわせ技術が大事」という組織ですし、マーケティング型は、現場の組織よりも「マーケティング力」に比重が置かれている組織です。

自動車メーカーのような機械のような完成品を作り上げるメーカーでは、部品が数百、数千にもなり、また投入される人は数百名、千数百名規模です。それぞれの部品が問題なく動き機能するためには、各部品作りに携わる個々の考え方を擦りあわせる必要がでてきます。一つの図面に仕上げたとしても、部品同士が想定通り動くとは限りません。何度も何度も擦りあわせていくしかないのです。それは製品の微妙な不具合が、直接的に生命に危険を及ぼすため、その擦りあわせにかける時間や質はハイレベルなのです。このような企業を「組織型」と定義しています。
開発フェーズに多数のプロセスが関わり、基礎研究から上梓まで十数年かかる製薬メーカーなども、同時に多面的な研究や検証をおこない、プロセスや結果を共有していきますので、同様に「組織型」と考えられます。

一方、食品や飲料メーカー、化粧品、アパレル、消費財系メーカーは、誤解を恐れずに言えば、一人や複数のアイデアで生まれた商品を、マーケティング力を駆使して売り切る事業モデルだと考えています。ブランディングが重要視されます。そのため、組織と言っても、個人が尖がる環境があれば十分で、メンバー同士が繰り返し繰り返し擦りあわせていくことはあまり必要ではないようです。
つまり、このような企業を「マーケティング型組織」と定義しているのです。

なぜ、このように定義をしたかと言えば、FFS理論を導入するかしないかの決定的要因になっているからです。
「人も組織も大切」「適材適所の実現」と、どちらの企業も同様なことを言われます。しかし、導入となればコストもかかるわけですから、課題解決できるのか?という問い掛けに対して、明確な効果を議論しなければなりません。
そこで、現場の課題を拾っていくと「組織型」は、ほぼ〝人間関係〟となるのです。上司-部下の関係、プロジェクトチームの関係が擦りあわせに影響を与えますので、結果が出ない、時間がかかり過ぎている、メンタルで倒れる人が出ている等々なのです。従って、その課題をb4bde721a551c24655680a5691939ba7_sb解決していくために、現状を把握し個別の対策を取っていくことが求められるのです。FFSはピンポイントで解決策は提示できるのです。

一方「マーケティング型」は〝優秀な人材がいない〟となりがちです。そのため、「採用だよな」ということになり、採用にも販売にも効果がでやすい「マーケティングやブランディングに投資すべき」となるのです。

この大別はあくまで我々独自なので、一般的かどうかは、皆さんの判断に委ねます。ただ、これまで600社を超える企業で導入していただいた結果から、我々の中ではかなりしっくりとしている分け方なのです。その観点でその会社のホームページにある「社員への思い」や「組織運営」を見ると、つい笑ってしまうことがあります。
『嘘やろ。マーケ、ブランディングしか考えてないじゃないか』と。

最近、日本でも〝プロ経営者〟の市場が出来たようで、就任や辞任の記事を目にするようになりました。その際気になるのが、その経営者の前企業がどちら型で、新しく就任した企業がどちらか? です。
マーケ型で成果を出したトップは、次にマーケ型に就任すると成果は出しやすいのです。しかし、組織型に行くと大変です。特に現場の課題に向き合うことをしないと、モノが出来ないし、時間もかかるからです。
逆もしかり。組織型からマーケ型への適応は厳しいのですが、ただこちらは、マーケやブランディング領域で一人のエース級を採用するだけで成果に導きやすくなるのです。

経営を志すのであれば、この組織タイプの違いを知って、自分はどちらで経験を積んだか、どちらが得意か、その上で誰を参謀として採用するか、もしくは一緒に誰を連れていくのか? 熟知している人が成功する確率を高めることになるのです。

株式会社ヒューマンロジック研究所 代表取締役

古野 俊幸(ふるの・としゆき)

関西大学経済学部卒。
新聞社、フリーのジャーナリストなどを経て、1994年、FFS理論を活用した最適組織編成・開発支援のコンサルティング会社・CDIヒューマンロジックを設立。
CDIヒューマンロジックのホールディングカンパニーとして、1997年に株式会社イン タービジョンを設立し取締役に就任。2004年4月からインタービジョンの代表取締役に就任。その後、社名変更を経て、現職。
現在まで約600社以上の組織・人材の活性化支援をおこなっている。チーム分析及びチーム編成に携わったのは,40万人、約60,000チームであり、チームビルディング、チーム編成の第一人者である。

A 16  B 9  C 14  D 17  E 3 / DAC

使命感、決断力をもって、有事に変革を推し進めることを得意とする。組織先導型。

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