古野のブログ

本質を問いかける3 「本当に人事部って必要なの?」

2016.11.15

グーグルではHRではなく、ピープル・オペレーションズと呼ぶそうです。
そのピープル・オペレーションズの担当上級副社長であるラズロ・ボック氏は著書「ワーク・ルール」の中で、こう書いています。
マッキンゼー、GEを経て、グーグルに転職しようとした彼は、採用通知の肩書が「ピープル・オペレーションズ担当副社長」だったことから「HR担当副社長に出来ないか」と依頼したところ、採用担当者から「HRという名称は評判が良くない。HRは管理的で官僚的。『オペレーションズ』はエンジニアから信用される肩書とある。実行力がある本物の能力をにおわせる。そして、数学が得意だというイメージがある…」と説明を受けたのです。ただ、入社半年後に希望すればHRに戻せるとの条件をもらいました。
入社後、グーグルの技術を背負っているトップエンジニアが彼の履歴書を見て「素敵な肩書きだね」と言われたことから、HRに戻すのは止めたのです。

このくだりは面白く読んだものです。
まさに、人事は現場の役に立たない管理部門ということなのです。

このような話は日本の方が顕著だと思います。特に人事一筋で人事の責任者になっている方はほとんどが文系です。途中の異動で現場から人事の責任者になった方と明らかに違いますので、あえて区別した方がいいでしょう。
つまり、数学的素養はなく、現場に精通しておらず、さらに「机上で管理すること」しかしないのです。そのため、たまにHR系のカンファレンスに行くことが趣味のようになり、揚句には組織・人事系の教授たちにサインまで求める始末です。現場を知らない人事が、現場を知らない教授たちの話に耳を傾ける。なにか間違っているとしか思えないのです。

先日、某企業の現場責任者から「従業員満足度サーベイを実施して欲しい」とご要望をいただきました。
この企業では毎年サーベイをされていますが、指摘されるところは相も変わらず毎回同じ。つまり毎年データを取りながらも施策に展開されていないため、同じ結果に陥っているのです。
そこで、FFS診断をしたことがある部門でFFSデータとサーベイを掛け合せて集計をしていくと、部門単位では様々な問題が浮かび上がってきました。「上司の問題」「風土の問題」と。しかも、個人の個性データと関係性を把握していますので、その原因も仮説立てできたのです。
その結果を現場担当者は人事部門に報告に言ったのです。
すると人事担当者は「現場の個別単位を相手にはしない。人事は共通するところを改善するのが仕事なんだ」と述べたそうです。では、共通の課題はなんだったのですか? と改めて問うと「コミュニケーションだ」と真顔で返事したそうです。

皆さんはどう思いますか?
これが多くの人事部門の姿なのです。
まさに管理部門、官僚化している現象を如実に表しているのです。

別の企業では、「上司-部下のコミュニケーション不足」ということで、上司と部下が「交換日記」風のやりとりをしようと、実験的に取り組んだそうです。
その結果を集計すると「毎日話をしているから大丈夫」「定期的にランチを食べているから十分だ」「飲みが足りないかもしれない」と様々。上司が書いている報告をまとめてみるとどうも「日常的な会話は十分」でした。しかし、「部下の個性や強みを意識して、目標達成のために課題を共有したり、解決策をアドバイスしたりする対話には発展していない」ことが明確になったのです。特に上司-部下の特性が異質な関係では、適切なアドバイスが出来ていないことや、そもそも苦手意識があり日常的なやりとりさえ少なかったこともわかった4d7612aab7d50f8d9cac601d64b0f405_sbのです。

その後、その対策として取り組んだのが、各自の特性や強みを把握し、同時に業務を洗い出して、強みを活かす目標達成の行動に導くことでした。そのためには上司自身の特性と部下の特性を把握することから始めました。

つまり、多くの問題は、最少単位である最前線チームの、さらに「個と個」つまり、一対一に問題が起因しているケースがほとんどで、『共通部分を相手にする』ということは、〝何も解決しない〟というメッセージなのです。

現場を大切にする意識から出た「ピープル・オペレーションズ」というネーミングと、一般的な「人事部」というネーミング。『名は体を表す』ということわざがありますが、多くの人事部門に携わる人たちは、「自分たちの役割」について、特に何も考えていないのかもしれません。しかも中身として『マクロしか相手にしない』のなら、人事部門の存在価値は無いに等しいのです。

株式会社ヒューマンロジック研究所 代表取締役

古野 俊幸(ふるの・としゆき)

関西大学経済学部卒。
新聞社、フリーのジャーナリストなどを経て、1994年、FFS理論を活用した最適組織編成・開発支援のコンサルティング会社・CDIヒューマンロジックを設立。
CDIヒューマンロジックのホールディングカンパニーとして、1997年に株式会社イン タービジョンを設立し取締役に就任。2004年4月からインタービジョンの代表取締役に就任。その後、社名変更を経て、現職。
現在まで約600社以上の組織・人材の活性化支援をおこなっている。チーム分析及びチーム編成に携わったのは,40万人、約60,000チームであり、チームビルディング、チーム編成の第一人者である。

A 14  B 10  C 15  D 17  E 4

使命感、決断力をもって、有事に変革を推し進めることを得意とする。組織先導型。

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