古野のブログ

本質を問いかける5 「データドリブンって何のため?」

2017.04.17

このキーワード、とても流行っていますね
このところ、お客様やお問い合わせいただいた方と情報交換すると立て続けに「今、取り組んでいます」「取り組もうとしています」「研究中」と話しを聞きました。
同時にHRテックやAI人事とか–。うーん、時代だなと、

さて、データドリブンHRの取り組みは、我々がお手伝いさせていただいておりますセプテーニ・ホールディングス社が、今一番進んでいると思います。各界からアワードということで評価されていますので、私見じゃなく世の中できちんと評価されている証です。こちらも嬉しくなりますね

さて、データドリブンHRに関して考えてみましょう

気になっていることが二つあります
一つは、手段と目的についてです。
「データドリブン」を端的に言えば、〝データに基づいた意思決定をしていこう〟ということですから、そもそも「何を実現したいから」という目的が必要になります。
つまり、目的が欠けていれば、データの集め方から、何を仮説・検証するのか、さらには意思決定した結果、それが正しかったのかどうかの評価も出来ません。
どうしても、今の流行りの話題として「データドリブンなHRに取り組みたい」と手段が先行しがちですが、目的が欠けた議論になっていないか疑問を感じています。

二つ目は、データを集めて分析し、仮説・検証を繰り返すわけですが、全て変数で進めていくと、多くの項目と膨大な量のデータが必要になり、どれが妥当かもわからないまま、データ集めに奔走してしまう懸念があることです。アナリストからみれば、「あれもこれも検証してみたい」となり、数値化できるものをどんどん集めていきます。気持ちはわからないことはないけれど~。
結果的に多くの数値を分析していくことで、余計に相関が取りづらくなり、迷ってしまい『解』に到達できなくなるのです。

セプテーニ社から相談をいただいた時、二つのことがクリアされていました。
一つ目が「人は育てるのではなく、育つ」だから「人が育つ環境作りを、ちゃんとやる」ということです。
人材獲得においては知名度のある企業と競争しても勝てないという課題認識があったようです。そのため「人が育っていく環境を作り、場を提供することで、会社としての競争優位を作ろう」という人事戦略の発想になったのです。
それを実現するために考案された「人材育成エンジン」が、下記の計算式です。以前も紹介しましたが
G=P×E(T+W)
成長(Growth)は、個人の資質(Personality)と環境(Environment)の掛け算である。環境はチーム(Team)と仕事(Work)の足し算で導かれる

そして、その「G」成長を測るのは、創業後早い段階から取り組まれた『評判評価』があったのです。これは、360度評価に近い概念で、部下、同僚、上司がつける〝評判〟なのです。ただ、誰が誰の評価をするのか指名するのではなく自由なのです。当然当初はバラつきが出たようですが、きちんとフィードバックを重ねながら継続していくうちに自然と人数にバラつきもなくなり、評価結果も妥当性のあるものに昇華してきたのです。営業であれば、売上や利益貢献というリアルな実績にも連動しているし、管理系のように数値化しづらい部門や業務に携わる人の評価もみんなが納得できる評価になっているのです。

この計算式の左辺「G」が固定化されますので、右辺側は絞込み易くなりました。

例えば、ある社員の入社から3年間の成果を追いかけるとしましょう。仮に評価は年二回取ったことにすると6回分の評価になります。一年目上期「C」一年目下期「C」二年目上期「C」二年目下期「C」三年目上期「A」三年目下期「A」であったとすれば…。
三年目に入る時に〝何か変化があった〟ことが仮説立てられます。
・他部門に異動した?
・部門の業務内容に変化があった?
・上司が変わった?
・同僚や後輩に変化があった?
左辺の成果が変化した訳ですが右辺にある個人の資質「P」は同じなので、環境「E」が変化したことになります。「E」の中身である 「チーム?」 「仕事?」どちらかでしょう。
組織の異動履歴を見れば、先ほどの4項目が歴然でした。彼の場合は、上司が異動してきて変わったのでした。
つまり、計算式もデータもシンプルであれば、相関が取りやすいのです。

576a7f0d6332e68297e8328469a226ae_sbさて、これから皆さんがデータドリブンHRを目指すなら、以下のことを議論されることをお薦めします。

まず、何を実現するために必要なのか?
どんな組織や企業を目指したいのか?  これらをきちんと議論しましょう。そして、その手段としてデータドリブンからのアプローチが最適なのかの議論ですね。決して「流行りだから」は止めましょう。
また、そのアプローチを具現化する上で、的確なロジックや計算式、さらには「何を評価基準にするのか」指標が必要になります。
この式こそが、「実現したいこと」と「企業の文化や風土」を反映するものになるはずです。従って、気軽に出来るものではありません。経営層がトコトン議論するべきことなのです。

株式会社ヒューマンロジック研究所 代表取締役

古野 俊幸(ふるの・としゆき)

関西大学経済学部卒。
新聞社、フリーのジャーナリストなどを経て、1994年、FFS理論を活用した最適組織編成・開発支援のコンサルティング会社・CDIヒューマンロジックを設立。
CDIヒューマンロジックのホールディングカンパニーとして、1997年に株式会社イン タービジョンを設立し取締役に就任。2004年4月からインタービジョンの代表取締役に就任。その後、社名変更を経て、現職。
現在まで約600社以上の組織・人材の活性化支援をおこなっている。チーム分析及びチーム編成に携わったのは,40万人、約60,000チームであり、チームビルディング、チーム編成の第一人者である。

A 14  B 10  C 15  D 17  E 4

使命感、決断力をもって、有事に変革を推し進めることを得意とする。組織先導型。

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