古野のブログ

現場課題の解決に向けて現場と人事部門が連携

2017.06.19

先日、ある会社にお邪魔したところ、丁度昼食時間になったこともあり、社員食堂でランチをご馳走になりました。その食堂で外国人が社員に英語で話かけているシーンを見ていると、その視線を感じたのか、案内してくれた担当者が「あれ、英語の先生なんです。TOIECの勉強は受験対策になってしまうので全面的に止めて、日常的な会話を体験させる取り組みに代えました」と話してくれたのです。
同様に、階層別研修もそれまでのやり方を大きく見直すようです。「去年まで毎年続けていましたが、結局、何に役だったか判らないと結論付けました」と話をしてくれました。
この担当者は、昨年現場から異動してきた人です。人事部門が毎年恒例のように実施している階層別研修に現場目線で疑問を持っていて、異動後すぐに評価に着手しました。
現場での効果測定まで踏み込んでいないことは判っていましたが、研修後に取るアンケートの結果さえ次の研修に反映していませんでした。遣りっ放しになっていたのです。

教育の評価に関しては、カークパトリック博士が提示した4段階評価法が有名です。

レベル1 Reaction(反応) 学習者の満足度の評価
レベル2 Learning(学習) 学習者の到達度の評価
レベル3 Behavior(行動) 行動変容の評価
レベル4 Results(業績) 職場の業績向上度合いの評価
というところです。

受験対策であれば、合格したかどうかです。従って、レベル2ということになるでしょう。
しかし、アンケートをして、「受講者の満足度さえ高ければ、問題なし。継続していく」という取り組みは、本当の意味で教育投資になっているのでしょうか?
つい最近、凸版印刷のある事業部の営業部門でマネージャー向けのワークショップを受け持ちました。これは営業部長会と「整流化プロジェクト」という横断プロジェクトチームが主催となり実施したものです。この現場の取り組みに、本社・人事労政本部の安全衛生・防火推進部メンタルヘルスチームが協力する形でおこなわれたのです。
一般的には、人事や労政、その中でも安全衛生に関連する部署は、どちらかと言えば守りの機能です。問題が起きないような取り組みが主体となりますので、現場から見えにくく、とても地味な部署と言えるかもしれません。
しかし、凸版印刷の労政部門は、積極的に現場に入り込んで〝前向きな課題解決〟を支援していこうと取り組んでいたのです。

さて、営業部門が自らの課題解決に取り組む。また労政部門が支援をする。こんな素敵な関係はどうして育まれたのでしょうか?

この取り組みは、数年前、「現場のマネジメント力が弱くなった」ことに問題意識を持ち、部門のトップと現場のマネージャーたちが「自らの課題の掘り起しと、解決」に向けた取り組みをしようとスタートしました。しかも、これは自分たちで企画・立案・実施し、アンケートを取り、また修正し、結果を出すまで続けるという〝継続的な刈取り〟を目指しているのです。

8b33a9560de19e08c14f0f300e6511db_sbスタートして二年目になる一昨年のアンケートでは「人間関係はいいけど、チームワークが上手くいっていないところもある」という結果を得ました。
そこで昨年は、上司と部下が密にやりとりをする施策を導入しました。その結果、さらに判ってきたことは「仕事以外のコミュニケーションは取れていて職場や上司-部下の雰囲気は良い」が、「仕事の課題解決に向けた対話が意外と少ない」ということでした。

そこで「上司-部下の対話を、課題解決に向けた内容になるよう質を高めよう」というものでした。
このテーマがワークショップでした。
具体的な内容は割愛するとして、結果的に参加者からの要望は、部下との対話にこれまで以上に積極的に取り組みたいので、いつでも気楽に相談が出来るような『相談窓口』を作って欲しいとメンタルヘルスチームに要望が来たのです。
その理由として「部下の特性をさらに知りたい」「定期的に部下のストレス値を報告して欲しい」「部下指導で悩んだ時に相談に乗って欲しい」というかなり踏み込んだものだったのです。

実際に窓口を創設するかはこれからの検討のようですが、「現場課題を一緒になって解決する」ための現場と労政部門の連携というのは、一つの参考になるのではないでしょうか?

株式会社ヒューマンロジック研究所 代表取締役

古野 俊幸(ふるの・としゆき)

関西大学経済学部卒。
新聞社、フリーのジャーナリストなどを経て、1994年、FFS理論を活用した最適組織編成・開発支援のコンサルティング会社・CDIヒューマンロジックを設立。
CDIヒューマンロジックのホールディングカンパニーとして、1997年に株式会社イン タービジョンを設立し取締役に就任。2004年4月からインタービジョンの代表取締役に就任。その後、社名変更を経て、現職。
現在まで約600社以上の組織・人材の活性化支援をおこなっている。チーム分析及びチーム編成に携わったのは,40万人、約60,000チームであり、チームビルディング、チーム編成の第一人者である。

A 14  B 10  C 15  D 17  E 4

使命感、決断力をもって、有事に変革を推し進めることを得意とする。組織先導型。

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