古野のブログ

キラキラ起業だって

2017.09.26

テレビを見ていると「今、キラキラ起業が流行っている」という特集をやっていました。
多くは主婦らしいのですが、「起業スクール」に出かけて勉強し、自ら自宅で出来るような料理教室や編み物スクール、アクセサリーやその他何々を教えるスクール、ネットで簡単に販売できる時代ならではの手作り物販事業も〝起業〟するらしいのです。

昔で言えば「お教室」。起業なんて表現に耐えうるレベルではありません。誰が命名したのかわかりませんが、最新トレンド風におだてあげることで、さらにブームとしたいのでしょうか?
無責任なタイトルづけだなぁと苦笑するしかありませんでした。

さて、「起業スクール」ってどうなんでしょうか?
ビジネスマン向けの「起業講座」や学生向けの「起業塾」などありますが、主催する側は〝学んで〟起業出来ると本気で思っているのでしょうか?
参加する側も、何を求めているのでしょうか?

思考行動傾向を診断するFFSでは、個性とは「ついやっちゃうこと」ですよと説明しています。
起業すら、〝ついやっちゃう〟人が、起業しているのです。

創業社長200人以上のデータがありますが、「興味がある、面白そう、やってみたいと思ったら、未経験であっても、いてもたってもいられずに、ついやっちゃう」という拡散性因子(D)が保全性因子(E)よりも高い人が、創業社長の約80%でした。DとEの比較では日本人平均はD>Eが35%しか出現しないのに、です。
この差こそ、「ついやっちゃう」という個性が色濃く影響した結果と考えて、合理性はあると思っています。

もちろん、知り合いの経営者の中で保全性が高い創業者はいます。彼の場合は、学生時代に経営者になりたいと考えた挙句、「今世の中にある事業で、メジャークラスになっていない事業は何で、仕組化すればメジャー級に伸びる可能性が高いもの」を調べ上げたそうです。
「自分の強みは慎重できちんと仕組み化すること。それを活かすことが出来てメジャーになれる事業を起こすことが、一番可能性が高いはず」と考えたそうです。
見事にメジャーになられています。

彼は起業塾に通った訳ではありません。学生時代のアルバイトを通じて目覚めたようです。
彼は受容性と弁別性が高く、保全性が次いで高いという個性です。『柔軟で合理的に判断し、慎重に仕組み化する』という強みが自然に発揮された行動だったのです。やはり、これも個性通りと考えてもいいでしょう。
他にも、大手企業からスピンオフした創業者は、「大手では運営コストが合わず、縮小されてしまったが、小さい所帯であれば十分利益が見込める」と判断しスピンオフした創業者は、保全性と弁別性が高い傾向にあります。この場合も、個性を活かした結果と言って過言ではありません。
つまり、起業というのは勉強して出来る代物ではなく、個性を活かした結果の「ついやっちゃった」ことなんです。

高校生時代に1社目を起業し、その後、2社起業して3社でブレイクしている経営者がいます。「大学では経営は学べないから」と起業した彼のFFSは拡散性と受容性と弁別性でした。
つまり、学ぶよりも、起業したという典型なのです。

pixta_29254309_SSちなみに拡散性と保全性の判断軸は同じく「好き/嫌い 興味ある/なし 快/不快」です。ただ、拡散性は興味あれば、「すぐ動く」ですし、保全性は興味あれば「成功させたいので準備する」と、次の動きに大きな違いが生じます。

従って、起業塾に来るのは、気軽に起業できる個性の人たち(拡散性が高い)でなく、準備が必要な人たち(保全性が高い)です。何度も学び、心配がない状態になるまで学び続けるのでしょう。
そういえば、「いろいろな起業塾に通って数百万程度投資した」という主婦がインタビューに答えていました。
主催する側から見れば〝ビジネス的に美味しい〟かもしれませんが、〝結果的に実現できない可能性が高い〝のです。

学ぶことは大切なことですので、まずは自己分析をしてから、「何を学ぶべきか」「どう学ぶのか」を知って、自己投資することをお薦めします。

株式会社ヒューマンロジック研究所 代表取締役

古野 俊幸(ふるの・としゆき)

関西大学経済学部卒。
新聞社、フリーのジャーナリストなどを経て、1994年、FFS理論を活用した最適組織編成・開発支援のコンサルティング会社・CDIヒューマンロジックを設立。
CDIヒューマンロジックのホールディングカンパニーとして、1997年に株式会社イン タービジョンを設立し取締役に就任。2004年4月からインタービジョンの代表取締役に就任。その後、社名変更を経て、現職。
現在まで約600社以上の組織・人材の活性化支援をおこなっている。チーム分析及びチーム編成に携わったのは,40万人、約60,000チームであり、チームビルディング、チーム編成の第一人者である。

A 16  B 9  C 14  D 17  E 3 / DAC

使命感、決断力をもって、有事に変革を推し進めることを得意とする。組織先導型。

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