古野のブログ

2019年 年頭のご挨拶

2019.01.07

働き方改革ならぬ「働く環境 改革」はいかが?

新年明けまして、おめでとうございます
本年も引き続き、ご指導ご愛顧を宜しくお願い申しあげます。
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ここ数年、HRテック、データドリブンHR、AI人事 等々、HR領域にIoTが絡んだ話題が増えてきています。「経営に科学を」が叫ばれて久しいですが、遅ればせながら「HRに科学を」が普通になってきたことは喜ばしいことです。〝人事部長のKKD〟が懐かしい話になったようです。

新しい年号となる今年、HR領域では、どんな『元年だった』と歴史に刻まれるのでしょうか?
年頭に考えてみました。

「働き方改革関連法案」が今年の4月から施工されます。
この法案はほとんどが「時間外労働をなくそう」(同一労働同一賃金や衛生管理もあるが)という取り組みです。タイトルの意味となる〝働き方〟に言及していないと感じています。結果的には総労働時間を短くしていく訳ですから、「時間当たりの生産性」をどう担保するのかが重要になります。

昨年スポーツ界で話題となった「パワハラ」問題も、ビジネスの世界にも広がりそうです。「権力は腐敗する」という根源的なテーマは限定的かもしれませんが、指導者の関わり方や在り方は、多くのマネジメント層の課題にも重なります。
さらにメンタルヘルス不調者も増加傾向にあり、その対策も大きなテーマとなるでしょう。厚労省の調査によるとメンタルヘルス不調の原因の一番が「職場の人間関係」でした。

一方で、去年話題になった本が「ティール組織」(英治出版)です。ブログでも紹介しましたが、新しい組織の在り方を一つ提示してくれたと思います。その前に出版された「なぜ弱みを見せあう組織が強いのか」(英治出版)も参考になるものでした。共に英治出版の企画でしたが。
共通しているのは、働く場所において『心理的安全性』を確保することが生産性に大きく影響していることでした。
「言いたい事を我慢せずに言える」「遠慮しなくて済む」「自分らしく振る舞える」状態です。これは、信頼できる経営者や上司がいる、気楽に相談できる同僚がいる、親身になれる後輩や部下がいる。こんな状態でしょう。

これらの話題を少し整理してみると
・時間当たりの生産性を高める取り組みが必要
・パワハラのような上司-部下の関係における問題をなくす
・メンタルヘルス不調者の原因となる職場の人間関係の改善
・心理的安全性が担保できる

これら結局のところ、「職場の人間関係が全てに影響を与えている」と言って過言ではないのです。つまり『最前線の組織・チームにおける人と人の関係』を科学的に把握し、お互いを知ることから始め、「心理的安全性」を担保することなのです。

メーカーの開発部門で課長向け「チーム力分析会」を実施した時のことです。
一人の課長から悩みを相談されました。
「最近異動して来た部下との対応に苦慮しています。いつも質問ばかりしてくるし、説明しても、腑に落ちないみたいです。『なぜ、こうするのですか?』私も納得してもらいたいので細かく説明するのですが、あまり伝わらないようです。『最後はやればいいんですね』と機械的な態度になります」と。
この課長はFFSデータでは受容性と保全性が高い人でした。部下は弁別性が第一因子で次の因子と5差ありました。つまり、部下は合理的に無駄なく業務を進めたい人なので「なぜそうするのか理由やエビデンスを求めていた」だけでした。

人には個性があります。人それぞれ違うことも理解されています。
しかし、人により「何が動機になるのか」「何が不安材料か」「何が判断材料か」まで個々の特性を踏まえて理解されていることは、ほとんどありません。
まあ、自分と照らし合わせる程度ですから、『自分にとって良かれ』は、少なくとも「気分を害することはないだろうと考えがち」という程度です。
この課長は、親身に部下の面倒を見るということで高い評価を得ている人材です。最近異動して来たばかりだから「不安だろう」と思い、「部下の不安を取り除いてあげたい」と慮った行動が、たまたまこの弁別性の高い部下には的外れだっただけなのです。

しかし、この『的外れ』こそが多くの悲劇を生み出しているのです。

例えば、拡散性と保全性。「好きにやっていいよ」は拡散性が高い人にとっては動機付けになりますが、保全性の高い人にとればストレッサーです。逆に「細かい指示で安定的」は保全性には動機付けで拡散性にはストレッサーなのです。つまり、良かれと思って対応すればするほど〝最悪の上司〟になってしまうのです。
二つの因子の違いだけでもすれ違いを生みますから、5因子全体で違いがあれば『心理的安全性』を担保することは難しいのです。研修等で「マネジメント」を学んでも、問題は〝個々の個性の違いに起因しています〟ので、日常業務においては役立っていないのです。

弊社のユーザー会で各社の活用事情をアンケートしたところ
「面接に活用している」 49%
「自己理解に活用する」 71.5%
「チーム分析に活用」  35%
ということで「自己理解」を経て、上司-部下面談での活用が半数です。この取り組みで、多くの現場の課題が解決に向かっているのです。

前述の課長にFFS理論を勉強してもらい、部下のデータをお伝えしました。そして部下との面談を通じて「部下の理解不足が招いたこと」とお互いが理解できたことで、苦手意識も消え、良好な関係構築に繋がったと報告をいただいています。

まずは「自分を知る」「相手を知る」「相手を活かす対話に変える」ことでしょう。特に一人ひとりの思考行動の違いを理解し「one on one面談」をしていくことでしょう。

今年を歴史に残すなら『働く環境を、心理的に安全な場所に変えた』という元年にしていきましょう。

株式会社ヒューマンロジック研究所 代表取締役

古野 俊幸(ふるの・としゆき)

関西大学経済学部卒。
新聞社、フリーのジャーナリストなどを経て、1994年、FFS理論を活用した最適組織編成・開発支援のコンサルティング会社・CDIヒューマンロジックを設立。
CDIヒューマンロジックのホールディングカンパニーとして、1997年に株式会社イン タービジョンを設立し取締役に就任。2004年4月からインタービジョンの代表取締役に就任。その後、社名変更を経て、現職。
現在まで約600社以上の組織・人材の活性化支援をおこなっている。チーム分析及びチーム編成に携わったのは,40万人、約60,000チームであり、チームビルディング、チーム編成の第一人者である。

A 14  B 10  C 15  D 17  E 4

使命感、決断力をもって、有事に変革を推し進めることを得意とする。組織先導型。

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