古野のブログ

人事部長のその先は

2017.03.09

知り合いの会社からメールが来ました。
人事担当役員を迎え入れたという内容でした。HR系のカンファレンスにも登壇されるくらい有名な方と紹介文がありました。
てっきり、外資の人事部長だったと思っていたら、前職を見ると内資でした。日本企業の人事部長から、日本企業の人事担当の執行役かなぁと。
「そんなに活躍されていたのであれば、なぜ転職なんだろう」と疑問しか沸かなかったのです。

人事部長のキャリアを考えてみたいのです

外資はそもそもjobありき、つまり仕事・職務主義なので、『その仕事の専門性』を問います。従って、CEOやCOOも専門職として捉えられヘッドハンティングの対象になり、人事や財務、マーケ等々、ほぼ同様に専門性が問われます。そのため、キャリアを伸ばすのは、人事なら人事として、より大きいとか難易度の高い企業へ渡り歩くというのが基本的な〝キャリア〟の考え方です。
だってそうでしょう。CEOやCOOがヘッドハンティングされて出たり入ったりする環境です。彼ら彼女達が任期中にどこまで成果を出せるかが問われる環境の中で、人事はプロフェッショナルでなれば期待などされません。だから、CEOが変わると、前職場からお気に入りだった人事部長を呼ぶというのが、よくある話なのです。

しかし、日本企業では、どうでしょうか?
『人事部長のプロフェッショナル』というのがあり得るか、ということです。
私は以前から、本来あるべき人事の仕事は「将来の競争優位の源泉となる人材を確保し育成し、現場の課題解決を支援し、全体最適を促しつつ、ビジネスのパートナーとして経営を支える」と叫んできました。つまり、『経営の一翼』を担っているのです。
優秀であればあるほど、人事部長の次のキャリアは経営者のはずなのです。
これが日本企業の人事に携わる方々のキャリアだと私は信じています。

fb846d547cb05dbdd7ea9ea494d16883_s2内資で実績のある人事部長が転職するということは、腕に自信があるのでしょうが、それは人事を「機能」と割り切っただけで、志がなかったと思わざるを得ません。

現場に寄り添う人事は、人事機能だけで済ませられるものではありません。ある意味で統合的であり、長期的なのです。
だからこそ、内資で人事部長になったということは、経営のステージだという自負を持たれて、その企業がその先30年50年と成長し続けられる組織創りの全責任を負って欲しいものです。そして見届けることでしょうね。それが志じゃないかと思います。

昨年まで日産自動車でグローバル人事を担い、その後全体の人事も担当されていた山極さんが先日「稼ぐ人財のつくり方」を上梓されました。その著書の中で
日本は「適材適所」海外は「適所適材」と真逆であると指摘しています。
つまり、日本企業は「人ありき」。その人をどこに座らせるかが重要となり、外資は「仕事ありき」で、この仕事に向く人でないと駄目となります。
まさに、内資外資のキャリアを物語っていました。よく言われている日本は『就社』、外資は『就職』なんですよね。

外資と内資の人に対する基本的な考え方、キャリアの考え方の違いを理解した上で、人事のキャリアを考えてみたらいかがでしょう。

山極さんがいた日産自動車は外資企業です。昨年辞められましたが、転職ではなくコンサルティング会社を立ち上げてCEOになられました。山極さんが体験された知見を広く伝えていくため、自ら会社を立ち上げて社長になるキャリアを選ばれたのです。個性的にも、らしいキャリアだと思います。

お勧めの本 紹介
「稼ぐ人財のつくり方」(日本経済新聞出版社刊) 山極 毅kasegu_01

この本の基本は「攻めの人事」とサブタイトルがあるように、SWP(Strategic Workforce Planning 戦略的人員計画)の取り組み方を、自ら実践された事例でわかりやすく紹介してくれて、人事部門がビジネスパートナーになるためのヒントを提供してくれています。
SWPのポイントは、「タレントマネジメント」と「リソースマネジメント」を両輪として回すことなんだとか。特にリソースマネジメントの根幹になる人員把握と計画は、世界規模の企業になるととても大変です。まさに良質なデータを集めることから始めて、分析し仮説立てしシミュレーションしていかなければなりません。山極さんは、元々エンジン技術のエンジニアなので、数字やデータを事実として議論が出来る人で、その能力を如何なく発揮されたようです。
その他、すぐにでも取り組めそうなヒントがたくさん書かれています。ただ、基本的には、「人事部門の有り方」にメスを入れているので、その点で合意されたなら、とても有効な実践書だと思います。メスを入れるために経営層を説得する材料に活用されるといいんじゃないかと思いました。
ちなみに人事をプロスポーツ組織の総支配人GM(ジェネラルマネジャー)に例えています。私が私見で述べた「人事のキャリア」に通じるところだと思います。私と山極さんは個性が似ているもので…。

 

株式会社ヒューマンロジック研究所 代表取締役

古野 俊幸(ふるの・としゆき)

関西大学経済学部卒。
新聞社、フリーのジャーナリストなどを経て、1994年、FFS理論を活用した最適組織編成・開発支援のコンサルティング会社・CDIヒューマンロジックを設立。
CDIヒューマンロジックのホールディングカンパニーとして、1997年に株式会社イン タービジョンを設立し取締役に就任。2004年4月からインタービジョンの代表取締役に就任。その後、社名変更を経て、現職。
現在まで約600社以上の組織・人材の活性化支援をおこなっている。チーム分析及びチーム編成に携わったのは,40万人、約60,000チームであり、チームビルディング、チーム編成の第一人者である。

A 16  B 9  C 14  D 17  E 3 / DAC

使命感、決断力をもって、有事に変革を推し進めることを得意とする。組織先導型。

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