古野のブログ

「チャット」のマナーはどうなの

2023.02.01

我々はFFS理論を学んでいただくために講座を開催しています。講義中、チャットで質問をしてくる参加者がいました。それが気になって、話すリズムを崩してしまいました。

さらに、参加者同士のやりとりも目に入ってきます。「先ほどの発言は、この意味だったんですね。ごめんなさい」とか。

講師側からすれば、〝授業中に内職をしている〟感じに映るのです。集中して話を聞いていないなー、とも。

エンタメのコンテンツを配信しているなら、「面白くなくて、ごめんなさい」なのですが、知識を得るための講座です。集中して聞いてもらいたいのです。

ウェビナーなど多数のオーディエンスがいる講演会であれば、質問を受ける時間もないので、チャットでの質問は合理的でしょう。しかし、講座は少数で学びの場。しかも質問の時間を頻繁に設けているのです。

ご本人は、「場を盛り上げるために、良かれと思って」という理由だったのです。

SNSなどで、本当に良いと思ったときは、「いいね」を送りますが、盛り上げる意味で「いいね」を送る〝習わし〟があるようです。私は理解不能です。
度が過ぎると「いいね欲しさ」に、『映え』のための写真を撮ったり、盛ったりするらしいです。自己顕示欲? 承認欲求? 益々、理解不能になりますが…。

そのノリの延長なのでしょうか? リモートワークでzoomやteamsでの会議においても、その場を盛り上げようと「チャット」をすることを推奨されているようです。これって、新しい文化なのでしょうか?

「聞くことは最高の知性」というコピーが帯にある「LISTEN」(ケイト・マーフィ)日経BPに、こんな記述があったのを思い出して、抜き出しました。

良き聞き手になるためには、相手の話に集中すること。
しかし、その障害になるのは、「次に何を言うか」が心配になって頭から離れないこと。
つまり、次に話すことを考えれば考えるほど聞き逃して、聞いている話から外れたことを口走ってしまう

話を聞いていて「わからない」と不安になるのは理解できますが、「質問を考えて、それをチャットに書く」ことで、聞くための集中力を欠き、さらに聞き逃してしまう恐れがあるのです。

私は仕事柄、相手の個性を理解するための面談や、経営課題、組織課題を把握するための面談をします。こちらの質問に対して「なんと答えるのか」をじっくりと聞くのです。回答が終わるまで、一言も聞き逃さないように集中します。
もちろん、待っていても発言がない時もあります。それでも「話をすると整理されますよ」と促し、聞き耳を立てておきます。考えがまとまらずに〝か細い声〟になっても、聞こうとします。人は話を続けていくと、それなりに整理されることがよくあるからです。そのため、待ち続けます。すると、必ず発言があるのです。たまに被せてしまうこともありますので、その時はとても反省しています。

しかし、「無言になると居心地が悪いから」と、良かれと思って言葉を挟む人がいます。特に、相手が保全性の人の場合、「固まってしまう」「閉じこもってしまう」ので、余計にそう感じるかもしれません。
実は、保全性の人は、固まってはいるものの「話をしないと相手にどう思われるのだろう」と不安とも戦っているのです。つまり、相手は「もっと居心地が悪いと感じている」のです。
保全性が相手でも、じっと待っていると必ず話し始めます。過去、最高で15~6分黙ったまま待った記憶があります。その後は、堰を切ったように話し続けてくれました。
つまり、どんな個性であろうと、きちんと聞いてくれる人には、相手も〝胸襟を開く〟のです。

会議であっても、誰かが話をしている途中に「チャットで盛り上げる行為」は、本当に盛り上がりを生むのでしょうか? 話をしていた人は喜んでいたのでしょうか?

「いいね」と盛り上げてくれる組織を『心理的安全性が高い』と評価している人たちがいます。しかし「いいね」や「絵文字」を送っている間に重要なメッセージを聞き逃しているかもしれないのです。「私の話、聞いていなかったかも?」と疑問を持たせないための方便として「心理的安全性が高いと言っている」と疑いたくなります。それって〝本当に心理的に安全な環境〟なのでしょうか?

『心理的安全性』の定義は、「お互いが駄目出しをされても議論を進められるほど信頼関係が築かれている状態」なのです。「盛り上げる」チャットなので、「課題解決に重要な論点を指摘した」訳でもなく、「本質的な突っ込み」をした訳でもありません。どちらかと言えば、「ヨイショ」に近いようです。悪く言えば〝なあなあな関係〟を助長してしまいそうです。

さて、先述した「LISTEN」にはアドバイスも書いています。

話が終わった時に確認したいことがあれば、「質問したいので、少し待っていただけますか」と返せばよい。
その方が相手は「ちゃんと聞いてくれた」と伝わるのだ。

皆さん、「チャットのマナー」を考え直してみませんか?

株式会社ヒューマンロジック研究所 代表取締役

古野 俊幸(ふるの・としゆき)

関西大学経済学部卒。
新聞社、フリーのジャーナリストなどを経て、1994年、FFS理論を活用した最適組織編成・開発支援のコンサルティング会社・CDIヒューマンロジックを設立。
CDIヒューマンロジックのホールディングカンパニーとして、1997年に株式会社イン タービジョンを設立し取締役に就任。2004年4月からインタービジョンの代表取締役に就任。その後、社名変更を経て、現職。
現在まで約600社以上の組織・人材の活性化支援をおこなっている。チーム分析及びチーム編成に携わったのは,40万人、約60,000チームであり、チームビルディング、チーム編成の第一人者である。

A 16  B 9  C 14  D 17  E 3 / DAC

使命感、決断力をもって、有事に変革を推し進めることを得意とする。組織先導型。

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