古野のブログ

「相互評価って何」 3回シリーズ‐2 /相互評価は、気づきを促すこと

2017.06.12

まず、「相互評価は何のためにするか」です。それは 育成のためなのです。

相互評価した結果は、事務局が集めて計算をします。評価をしてもらう時点では回答しやすくするため、非公開を前提にします。
ただ、最初は甘い評価をしてしまいます。
この相互評価を説明して「さあ、評価してみましょう」と書かせると、概ね他のメンバーに4点を配る傾向があります。「皆頑張っている」とか、「自分はまだ力が発揮できていないから」、もしくは、「周囲を良く見ていない」こんな理由から、このようにつけるようです。特にチームとして機能していないほど、この傾向が強くなり、全員の受点平均が高く、個々に差がない状態になるのです。
評価を書いてもらって直ぐに、下の事例を見せながら、『Cさんは、おそらく上記のような理由で皆に4点を配った(評価ではない)のだろう、良くあることですよ』と説明します。ほぼ図星であり、それで「厳しい評価をつけることから逃れて、遣り過ごそう」としていたのです。
そのことを指摘した上で、さらに「低い評価をすることは駄目出しではなく、気づきを与える機会だ」と説明してもう一度、評価を書き直してもらうと、かなり是正されて、それなりの差がつくのです。
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相互評価の結果は、誰が誰に何点を付けたかはわからないように回収して、事務局側で計算をします。計算後に順位を付けて、そのリーダーが一位だったかどうかだけを全員に報告します。そのため、評価が低かった人は、特にフォーカスされません。あまりに問題がありそうなチームは、事務局がフォローに入ることはありますが。
ただ、「気づきを与える機会」という狙いがありますから、口頭でアナウンスします。
「低くつけた人へ課題を示して、貢献できるように支援しようと考えたのなら、誰が誰に何点を付けたか公開しませんか、とチームで合意すれば、それは構いませんよ」と
すると、ほぼ全チームが公開をし、課題を指摘し出しました。
「私は○○さんを2にしました。それは何もしていないからです」「私は◇◇さんを1にしました。◇◇さんは言葉ではやると言いながら、協力的ではない」とか「△△さんはあまりしゃべらないので何を考えているかわからないから、2にしました」等々。
実はこのように捉えているのに、言い出すタイミングがなかったことで〝遣り過ごしてしまう〟ことになり、同じチームにも関わらず関与しなくなってしまうことがよくあるのです。

メンバーシップが鍛えられる
つまり、相互評価を「客観的につける」ことは「低くつけた相手に対して真摯に関わる」という意思表示なのです。少なくとも今いるメンバーは、目的を同じくしたチーム員です。一人ひとりが成果を出さないと、チームとしての成果に繋がりません。
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そして、最終日に再度、貢献度評価を実施します。評価する際に、仲間の変化を感じ取れば評価は変わります。自分の関与で変化があったとすれば、嬉しいことになります。最下位だった本人も、一つ二つ順位を上げたことで、自信にもつながります。お互いに指摘し合える良いチームは、メンバーシップが効いているチームとなります。
つまり、良いチームは良いリーダーを育て、良いリーダーは良いチームを作り上げる。〝リーダーとチームは不可分の関係〟なのです。

さて、チーム編成を専門にしている側とすれば、一人ひとりが自分の強みを発揮できるように編成しますが、一人前でなければなりません。「最高の組み合わせでチームを編成した」と言っても、全員が一人前の成果が出せなければ、チームは機能しないのです。

株式会社ヒューマンロジック研究所 代表取締役

古野 俊幸(ふるの・としゆき)

関西大学経済学部卒。
新聞社、フリーのジャーナリストなどを経て、1994年、FFS理論を活用した最適組織編成・開発支援のコンサルティング会社・CDIヒューマンロジックを設立。
CDIヒューマンロジックのホールディングカンパニーとして、1997年に株式会社イン タービジョンを設立し取締役に就任。2004年4月からインタービジョンの代表取締役に就任。その後、社名変更を経て、現職。
現在まで約600社以上の組織・人材の活性化支援をおこなっている。チーム分析及びチーム編成に携わったのは,40万人、約60,000チームであり、チームビルディング、チーム編成の第一人者である。

A 16  B 9  C 14  D 17  E 3 / DAC

使命感、決断力をもって、有事に変革を推し進めることを得意とする。組織先導型。

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